会長挨拶


第94 回日本衛生学会学術総会
会長 堀内 正久

鹿児島大学 衛生学・健康増進医学 教授

 

 第94回日本衛生学会学術総会の開催を担当させていただくにあたり、ご挨拶申しあげます。
 日本衛生学会は、1902年(明治35年)の「衛生学」、「細菌学」、「伝染病学」が連合した日本聯合医学会第1回学会分科会にさかのぼれば実に120年、1949(昭和24)年の「日本衛生学会」第1回総会からとしても70年を超える歴史と伝統のある学会です。健康維持増進を目指す社会医学の分野として、感染症学、中毒学、栄養学、遺伝学、環境医学などを基盤的な学問に踏まえて、その時代における社会・環境問題に取り組んできました。また、動物・細胞を用いた実験研究と、人を対象とする疫学研究の双方のエキスパートを擁することも大きな特徴です。
 衛生学は社会医学の研究分野であり、研究者の視点として、「社会」が意識された研究が行われています。学術総会に参加される方への呼びかけとして、今一度、ご自身の研究と社会の接点を見つめてみるということを考えました。そこで、本学術総会のテーマを「人が幸せになる社会の仕組みづくりを目指して」とさせていただきました。
 日本衛生学会の歴史の中で鹿児島県での開催は初めてとなります。コロナ感染によって、学会の様相も大きく影響を受けています。オンラインの利用も参加が困難だった人の参加を促すこととなりました。ただ、オンラインの利用によって、現地参加者が減り、対面での活発な議論が少なくなったとの声も聞かれます。本学会では、対面での実施とし、単位等に関連する発表を後日オンデマンドで視聴できるようにと致しました。具体的な工夫としては、演題登録料の負担を無くしたこと、ポスター発表では議論の場としてのコアタイムを設定したこと、ポスター賞の選考において設定したコアタイムなどを利用して選考を行なうこと(予定)、公募シンポジウムとして「疫学研究と実験研究の統合」を設けました。これらの工夫を考慮して、より積極的に口演、ポスター発表に出題を頂けますことを願っております。
 多くの皆さまに鹿児島にお越しいただき、活発な議論を交わす学術総会となりますようお願い申しあげます。